いちご農家さんの一年に密着~真岡の極上いちごが出来るまで~

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更新日:2023年04月03日

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真岡市内でいちご栽培を行うとある農家さんに注目し、いちご栽培の1年を追いました。

真岡のいちご農家さんは甘くて美味しいいちごを市場に出すため、日々試行錯誤しながら愛情をこめていちご栽培に取り組んでいます。普段食べているいちごがみなさんの口に入るまでどのように育てられているのか、真岡の極上いちごができるまでの一年に密着しました。

いちごが出来るまでのプロセス

3月末~5月末頃 親株定植・ランナー苗作り

5月末のランナー作りの画像

いちごの収穫時期の真っ最中の3月末頃から、翌年に向けての親株定植作業が始まります。いちごは野菜と違い種から育てるのではなく、苗を増やして栽培するのが一般的です。

苗を増やす元になる株を「親株」、その親株からつるのように伸びる茎のことを「ランナー(子苗)」と呼びます。ハウスで収穫中のいちごもランナーは伸びますが、花や実に栄養を回してあげるために、株元から切り落とします。親株はいちごを収穫するためではなく、翌年に定植するための子苗をたくさんつくるために、ランナーを切り落とさず、ぐんぐんと伸ばしていきます。

6月上旬頃 育苗準備

5月末の土づくりの様子

6月に入ると育苗の準備に入ります。ずらっとトレイを並べて、いちご育苗用の培土と窒素入りの錠剤肥料を入れていきます。

窒素は主に葉っぱの成長を促進させる効果があります。いちご栽培において肥料を適切な量とタイミングで与えることが、健全な苗の仕上がりを大きく左右します。

6月中旬頃~7月上旬 挿し苗の選別・調整

6月頃の挿し苗の選別の様子

親株から伸びるランナーを切り離し(採苗)、苗の選別・調整作業を行います。株を傷つけてしまうと炭そ病に感染発病しやすくなるため、気の抜けない作業です。1つの親株からとれるランナーは50本ほど。

切り離したランナーは葉っぱを2枚程度残し、葉の大きさや根の長さをそろえる調整作業をしていきます。

6月中旬頃~7月上旬 育苗、挿し苗の仮植作業

6月頃の育苗の様子

選別されたランナー苗をトレイに一つずつ仮植していきます。小さな挿し苗が倒れないようにランナーピンで苗を固定し、長めに残したランナーの先を輪(ループ)のようにして培地にさし込む「ランナー挿し(ループ挿し)」を行います。こうすることで、ランナーからも吸水ができるので、しおれが発生しにくく、活着が促進されるのです。

7月頃~ 葉かき

6月頃の葉かきの様子

葉が密集してきたら、風通しと日当たりを良くするために「葉かき」を行います。光合成をする力が弱くなった葉は、虫が付きやすくなったり、病気になりやすくなったりしてしまいます。葉かきは、病気の無い健全な苗をつくるために欠かせない大事な作業です。

いちごの苗が大きくなるにつれ葉が何枚も出てくるので、常に葉が3~5枚になるように管理を続けていきます。

7月~8月頃 追肥

7月頃の追肥の様子

根がしっかり活着してきたらループをカットし、錠剤肥料を追肥します。

苗が大きく育ってきたらランナーピンを外していきます。

8月頃 畝立て

8月頃の畝立ての様子

いちごの苗を植えるために、土を盛り上げて畝を作ります。周りよりも用土のかさを高くすることで、用土の水はけと通気性を良くし、農作業をやりやすくすることが目的です。いちごは排水性の良い土壌を好むため、高さのある畝を作ります。

9月頃 定植

9月頃の定植の様子

いちご栽培の一大イベントのひとつ「定植作業」。トレイですくすく育った苗を圃場に植え替え、定植していきます。畝の中央に点滴チューブをセットして定植作業が完了です。

定植後はたっぷりと水をあげて、根の活着をうながします。

10月頃 マルチ掛け

10月頃のマルチ掛けの様子

マルチ掛けとは、植えたいちごの地表面をマルチと呼ばれる資材で覆うこと。古くからワラが利用されてきましたが、現在ではビニールシート状のものがよく使われています。マルチ掛けは、土の乾燥や雑草の生育、病害虫の発生を防ぎ、地温が上がることで生育を促進するなどの効果があります。

マルチ掛けの作業は、苗の上からマルチを張って畝を覆い、穴をあけて苗を取り出し、葉がマルチの外に出る状態にします。マルチを張ることで土に直接いちごが触れなくなるため、きれいないちごが出荷できるというメリットもあります。

10月中旬頃 ミツバチ導入

10月中旬頃のミツバチ導入の様子

花が咲くころ、いちごの受粉作業に重要なミツバチを放し飼いします。果実を実らせるために受粉作業をしてくれる訪花昆虫です。

10月中旬頃のミツバチ導入の様子

いちごの花が咲き始める頃、ハウスにミツバチの巣箱を入れます。ミツバチは花の上をくるくる回る性質を持つため、いちごにまんべんなく受粉ができ、形のきれいないちごを育てるのに貢献しています。

最初は形がいびつないちごも、ミツバチが繰り返し密を吸いに訪れることで形の良いいちごが栽培できます。

10月下旬頃~5月 収穫

10月下旬頃の収穫の様子
10月下旬頃の収穫の様子
10月下旬頃の収穫の様子

年内はいちごの花が咲いてから約30日で収穫ができます。出荷が始まってからは毎日収穫と調整作業を行います。その間もランナーは伸び続けるので、ランナーカット作業は都度行います。栄養がランナーから他の部分にいかないようにこまめに取り除くことで、栄養を花や実に集中させ、美味しいいちごが出来上がるのです。

イチゴの選別作業

イチゴの選別作業の様子

収穫したいちごはすぐに重量、形、色に基づき選別、小分けされ、いちごの形を見ながらパズルのように組み合わせてパック詰めしていきます。いちごの選別・パック詰め作業は、いちご生産の年間労働時間の約5割が費やされており最も手間のかかる作業です。

このパッケージ業務等を担うため、「JAはが野高機能物流センター(パッケージセンター)」が真岡市に整備されました。生産者は収穫した状態でそのまま搬入し、センターでパッケージから出荷まで行うため、生産者の負担軽減が図られ、生産に力を入れられます。

真岡の極上いちごが全国へと届くまで

いちごを食べる女の子の様子

甘くて美味しい真岡の極上いちごがみなさんの食卓にのぼるまでには、いちご農家さんの手によってこのように多くの手間暇がかけられています。いちごが収穫されるまでの一年を想像するだけで、いつものいちごもより美味しく感じられるかもしれませんね。

協力:株式会社ベリーズバトン

写真提供:いなそ様

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