インタビュー「暮らしを耕すひと」vol.1 猪野麻美さん
「『一円融合』人と人が一体となって作り上げる観光農園」株式会社雄 猪野さんちのいちご農園 猪野麻美さん
栃木県真岡市でグリーンツーリズムに携わる農家さん等の取り組みや想いを聴くインタビュー「暮らしを耕すひと」第一弾!今回は株式会社雄 猪野さんちのいちご農園の猪野麻美さんにお話を伺います。
真岡市出身。地元の幼稚園に20年ほど勤務したのち、祖父の代から続く実家の農家に就農。現在は観光いちご園である「猪野さんちのいちご農園」を経営し、いちご栽培、加工、販売、開発などに幅広く携わる。株式会社雄専務取締役。尊徳太鼓保存会副会長。
株式会社雄/猪野さんちのいちご農園:http://you-ino.com
アットホームな農園で食べた人が笑顔になるいちごづくりを
ー就農したきっかけを教えてください
猪野:もともと地元の幼稚園で20年ほど働いていましたが、実家の米や麦などの土地利用型作物の規模が大きくなる一方で、いちごの規模がだんだん小さくなっていました。それがなくなってしまうのは寂しいな、もったいないなと思ったのがきっかけです。
また、ミルキーベリーなど新しい品種の手入れを手伝う中で、いちごづくりも面白いと思ったので始めました。
ーいちごづくりのおもしろさはどのようなところにありますか?
猪野:正直大変なことの方が多いんです。でも収穫の喜び、いちごは食べた人が笑顔になるんですよね。皮をむいたり、種を取ったりということがないので、子どもでもすぐに食べられて手に取りやすい。また、見た目も可愛いらしいし、いい匂いなのでみんなが笑顔になる。そういうのを見ていると「ああ、作ってよかったな」と感じます。
「一円融合(いちえんゆうごう)」。従業員が一体となった農業経営。
ーいちごの見た目は唯一無二ですよね。貴農園の魅力を教えてください。
猪野:ハウス建てや排水設備などほとんどの作業を自社施工ができることは魅力の一つです。
うちの農園には大きな機械で大きな田んぼを動かす人たちと、いちごをこつこつと手入れする人たちがいます。男女比はおよそ2:1であり、技能実習生や特定技能の人たちがいるので、国籍や年代も多種多様です。溶接ができる人や元土木業者さん、元調理師さんなどいろんな仕事を経験している人がいるので、みんなで一つとなって技術を教えあったり、作業をしたりしています。
真岡市(旧二宮町)は二宮尊徳先生のゆかりの地なのですが、これはまさに尊徳さんの教えの一つである「みんなで一つのことを輪になってやろう」という『一円融合』ですね。
何よりいちごの専門家の母と、田んぼもいちごも専門家の父がいて、専門家が二人いるんです。聞きたいことはすぐに聞ける状況がすぐそばにあるのは強みですね。
それでも二宮の地域はいちご農家さんがすごく多いので、新しいことを始めた人を見に行くこともできます。今までやってきたことも大切ですが、新しいことを取り入れたりみんなで情報を共有したりして地域が良くなって、みんなで盛り上がっていくために周りの方や地域とのかかわりも大切にしています。

ーいちご栽培が広がった時からそのような考え方が根付いているんですね
猪野:そうですね。それが祖父の代からそうであったように、父の代がそうであり、私たちの代でも横のつながりや縦のつながりを大切にしていければいいなと思います。
ー農業を営むうえで大切にしていることはありますか?
猪野:まず従業員さんやその家族の生活を守ることを大切にしています。繁忙期でも週に一日は休みを取り、勤務時間が原則8:00から17:00までとなっています。長く楽しく働けるためにライフスタイルに合わせて勤務体制をとることができます。
今までやってきたことを継続しつつ、新しいことを取り入れようということで、少しずつ機械化したり、アプリを導入してみたり。例えばハウス内の温度や土壌環境、CO2濃度などをアプリで確認できる「ファーモ」という設備を数年前に導入しました。これは経費削減や作業効率の上昇はもちろん、「食べる人が安心安全に食べられるように」という消費者への想いからです。毎年ちょっとずつでも進化していけるといいのかなと思っています。

リピーターさんとのつながり。お客さんが笑顔になるために。
ー現在どのようなグリーンツーリズムの活動に取り組んでいますか?
猪野:「ジャム作り教室」、イベントへの出店、加工品販売、いちご狩りを行っています。
ーグリーンツーリズムの活動にはどのようなやりがいがありますか?
猪野:お客さんの笑顔のために続けられているのはありますね。また、お客さんがいちご狩りに来れば、真岡を知るきっかけにもなるのかな。従業員さんたちも、環境整備をしっかりと行ってくれていて、人が入るのでハウス内や機械置場などもきれいにしてくれています。
当園はリピーターさんが多いんです。毎年来るお子さんの成長を直接見ることができます。また、付き合っていた二人がいつの間にか結婚して、いつの間にか子どもが生まれていました。今年はその子が歩いて自分で食べて行きました。おばあちゃんが杖付きながら来てくれたり、幼稚園に通っていた子たちが小学一年生になったよと報告してくれたりします。子どもが「ランドセル何色にするんだ」と言ってくれると嬉しいです。子どもの成長を直接見られるのはすごく良いと思います。一農家ですけど、人とのかかわりを大切にしています。
うちは外で犬と猫を飼っていて、動物とのふれあいができたり、大きな機械があるので農機具や大きなダンプ、トラックを見たことがない男の子は工場見学状態だったりします。動物とのふれあいや、農機具の見学を通じて、いちご狩りに来た一方で、ほかのことでも農場体験ができるので、満足して帰ってもらえます。近所に二宮尊徳さんの資料館と陣屋があり、二宮いちご発祥の地の碑もあるので、時間があったら寄ってみてくださいという声掛けを通して、地域がつながるといいなと思っています。


ー最後に、今後はどのようなグリーンツーリズムに関する活動を行いたいですか?
猪野:真岡市産のいちごのクラフトビールを作りたいと思っています。ビール面白そうだなと思って、新しいお土産の一種になっていいのかな、なんて思っています。
継続性のあるものがいいのかな。真岡に何回も来てくれるような。そして来た時に道の駅やあぐ里っ娘で旬の農産物を買うことができると、真岡に何度も足を運ぶことにつながると思います。

取材、文章、写真:植村 大吉(真岡市地域おこし協力隊 グリーンツーリズムコーディネーター)
この記事に関するお問い合わせ先
産業部 農政課 農業振興係
〒321-4395
真岡市荒町5191番地 本庁舎4階
電話番号:0285-83-8139
ファックス番号:0285-83-0199
お問い合わせはこちら

更新日:2026年06月12日