農業経営者としての知見とアイデアを形に。 先を見据え、持続可能な地域をつくる
【まちつくインタビュー特別編・真岡市議会議員インタビュー】
市民から直接選挙で選ばれる市議会議員。市民の声を行政に届ける身近な存在ですが、一人ひとりが「どんな人なのか」を知るための情報が少ないと感じていました。そこで!まちをつくる一人の市民としての議員さんはどんな方なのか?まちつくインタビュー特別編としてインタビューさせていただきました!インタビューの趣旨に賛同し、ご協力いただいた議員のみなさまを、議席順に掲載していきます。
(聞き手:真岡市地域おこし協力隊 粟村千愛)

今回取材したのは、大規模なトマト栽培を行う「くしげ農園」の櫛毛隆行さん。これまでのご経歴や、議員として大切にしている考え方、目指すまちづくりについて伺いました。
櫛毛 隆行(くしげ たかゆき)
真岡市生まれ。神奈川県の大学で農業を学んだのち、施設園芸の会社に入社し全国で養液栽培を指導。30歳でUターンし、実家のくしげ農園を継承。第3回栃木県元気な農業コンクールでとちぎ元気大賞(農林水産大臣賞)を受賞。第60回全国農業コンクールで名誉賞(毎日農業大賞・農林水産大臣賞)を受賞。2015年、真岡市議会議員選挙に初出馬し当選。
養液栽培と企業経営を取り入れ、トマト栽培を拡大
ーはじめに、ご経歴を教えてください。
真岡市西沼のトマト農家で育ちました。長男なので、いずれ家を継ぐんだろうなと思っていて、高校も大学も農業を専攻。卒業後は視野を広げるため、首都圏の施設園芸の企業に就職しました。土を使わず水に溶かした肥料で植物を育てる、養液栽培を普及させる仕事です。当時は養液栽培を導入している農家は少なく、全国のさまざまな作物を見て栽培指導をしました。
辞めろと言われたら就農すればいいやと思っていたので、言いたいことを言って、やりたいことをやっていました(笑)。それがよかったのか早い段階で昇進し、25歳で課長に。企業の経営にも携わるようになり、経営の勉強になりました。30歳になった頃、父から事業を拡大するので手伝ってくれないかと話があり、就農を決意して真岡に戻りました。
ーどんな農業を目指しましたか?
企業経営を農業にも取り入れようと考えました。戻って最初にやったのは事業計画づくりです。当時の農家は、自分が働いた分を人件費に換算していなかったり、収支が家計と一緒になっていたりと、どんぶり勘定になりがちでした。そうではなく、技術や経営の指標を設定し、1年ごとに評価できるようにしていきました。やっていて楽しかったです。数値にすることで変化を見られるようになり、これからどうなっていくんだろうとワクワクしました。世の中の動きに注目し、いろいろなアイデアを調べて取り入れるのも面白かったです。40アールだった栽培面積は、約4.5倍の1.8ヘクタールに拡大。農業コンクールで賞をいただき、講演などに呼んでいただくことも増えました。

盆踊りを復活。地域を次世代へつなぐために
ー議員になったきっかけは?
なるつもりは本当になかったんです。地域の議員が辞めるタイミングでやってみないかと声がかかり、やらないと言っているのにどんどん話が進んでいって…(笑)。外堀を埋められて断れない雰囲気になり、結果として出馬することに。でも選挙活動をしていると、地域の方々が親戚や関係者にわざわざお願いしに回ってくれるんです。「この人たちを裏切れないな」と思いました。一生懸命応援してくださった方に恥をかかせたくないと、その一心で活動しています。
ー実際に議員になってみて感じることは?
まちづくりは人の集まりから始まるんだなと実感しています。議員になってから、地域の同年代が自分のところに集まってくるようになりました。子どもの頃の話をする中で、地域のイベントが楽しかったよねと話が出たのです。若者が真岡を出て何かにつまづいたり壁にぶつかったりした時、「そういえば子どもの頃、楽しかったな」と思えたら帰ってくるきっかけになるかもしれない。そのきっかけがイベントなのかもしれない。地元の西沼地区は、コロナ禍をきっかけに盆踊りがなくなってしまっていましたが、これを復活させようという動きが生まれました。
運営が大変だからとなくなったイベントなので、区に言っても復活は難しい。であれば自分たちで組織を作ろうと、実行委員会を結成。区が請け負っていた廃校の管理を実行委員会で行い、管理費を原資に廃校を使った盆踊りを開催することにしました。
最初の年はとにかくたくさんの人に来てもらおうと、小学生は育成会に声をかけ、中学生は学校にお願いして出店の半券を配りました。その甲斐あって、こんなに地域に子どもがいたのかと思うほどの人が集まり、すごく良いイベントになりました。今は復活して5年ほど経ち、市外へ進学した子どもたちが夏祭りに合わせて帰ってきて、プチ同窓会をする姿も見られるようになりました。20代になった子たちが、今度はスタッフとして焼き鳥を作るのを手伝ってくれるなど、良い循環が生まれています。
議員自身が何かやろうと言って実現できることは少ないかもしれませんが、人が集まれば何かやりたいことが出てくる。そこで自分でできることがあれば仕掛けて、何かやりたいことがある人がいればサポートする。側面支援が重要なのではないかと考えています。
ー最後に、目指すまちづくりについて教えてください。
目先のことだけでなく、先々を見据えた活動をしていきたいです。特になんとかしなくてはならないと思っているのは、自治会の存続ですね。特に農村部では活動が成り立たなくなってきている地域もあるので、将来的には合併などの措置が必要だと思います。ただ、自治会が違うと文化も違うので、なかなかすぐに一緒にやろうとはならないんですよね。そこを超えるために何ができるかを今考えています。
例えば先ほどの盆踊りは、西沼地区だけでなく隣の東沼地区の方々も実行委員のメンバーになっています。小学校が廃校になってから接点がなくなっていましたが、今また、地区を超えた交流が生まれている。こうした自治会をまたいだ活動が広まるといいなと考えています。自治会同士の融合は時間がかかるので、崩壊が始まってからではもう遅い。現状だと自治会を跨いだ活動への支援はないので、規制を緩和した支援制度が必要になるのではと思います。
あとは農業。農業を核とした観光や地域おこしをもっと進めていきたいです。例えば体験農場は、少量多品種で見た目にも綺麗な「魅せる」農場にして、そこで取れた野菜を販売できるようにすると、作る人のモチベーションも上がるかもしれません。
真岡だけ、農業だけではなく、幅広い情報に興味を持って取り入れていると、思いがけないところで情報同士が結びつき、応用できることがあります。今後もいろいろな分野に興味を持ち、アイデアを生み出し、仕掛けをつくっていきたいです。
真岡市議会議員インタビュー・櫛毛隆行さん (PDFファイル: 1.1MB)
取材、文章、写真:粟村千愛(真岡市地域おこし協力隊)
この記事に関するお問い合わせ先
総合政策部 プロジェクト推進課 まちづくり推進係
〒321-4395
真岡市荒町5191番地 本庁舎3階
電話番号:0285-81-6949
ファックス番号:0285-83-5896
お問い合わせはこちら

更新日:2026年03月31日