まちつくインタビューvol.5石川すずさん

更新日:2023年03月27日

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一人ひとりの「やりたい」がまちをつくる。実践から学んだことを伝えていく。

地域に役立つ仕事をしたいと考え、大学に進学した石川すずさん。少しずつコミュニティを広げ様々な人と関わる中で、自分自身が変わったことを実感しているそうです。石川さんが実践を通して身につけてきたこととは?お話を伺いました。

SCHOOL OF REGIONAL DESIGNと書かれた建物の前でポーズをとって笑顔で写る石川 すずさんの写真

石川 すず(いしかわ すず)

栃木県佐野市出身。宇都宮大学地域デザイン科学部コミュニティデザイン学科4年。

地域に役立つ仕事をしたい。父の姿を見て芽生えた思い

ー石川さんの今のご活動を教えてください。

石川:宇都宮大学地域デザイン科学部の4年生です。高校生や大学生を対象に、地域活動によって自己肯定感や地域への愛着がどう変化するのか研究しています。学外で真岡まちづくりプロジェクト(以下、まちつく)の運営メンバーとして活動しているほか、学内でも野外上映会のイベントを企画するなど活動しています。

ー地域でのご活動に関心を持ったのはなぜですか?

最初のきっかけは、父が佐野市の職員だったことです。父は顔が広くて、近所を歩いていてもいろいろな人と挨拶し合っていました。私も周りの人に、「お父さん市役所の人だよね、すごいね」と言ってもらえることが多くて。そんな体験から、地域の人と繋がれる仕事っていいなと感じていました。

次のきっかけは、高校生の時に友達に誘われて、ゴミ拾いをするボランティアに参加したことです。毎月第1、第3土曜日の朝、集まって通学路などのゴミを拾っていました。最初は朝早いし、面倒くさいなと思っていました。でも、回数を重ねると徐々に道が綺麗になっていくのがわかりました。いつもはスルーしていたけれど、意外とゴミは落ちているんですよね。それに、ゴミを拾っているとまちの人から「ご苦労様です」と言ってもらえることもあって。地域の人の役に立てている実感がありました。それから、「もっと地域の役に立てる活動に参加したい」と思うようになりました。

ー大学入学時から方向性を決めていたんですね。

そうですね。地域の中でも、地元・栃木で働きたいという気持ちがありました。大学を調べる中で、実際に地域に入って課題解決ができるミュニティデザイン学科を知って選びました。

ー大学に入ってからは、どんな活動をされましたか?

最初に参加したのは、栃木県さくら市の廃校を活用したイベントの運営です。どうやって情報収集すればいいのか悩んでいる中で、大学の授業で知って応募しました。

参加した大学生でチームになり、「ボウジボ」というワラの棒を模したストローアートを作ることになりました。ボウジボは、栃木県に伝わる十五夜の行事で使われます。子どもたちがボウジボを持って地面を叩きながらまちの家々を訪ねて回り、お小遣いやお菓子をもらうというハロウィンみたいな行事です。

私たちは何百本もの色とりどりのストローを使って、虹色のモニュメントを制作しました。みんなで同じものを作ろうという空気が楽しかったですね。大人の方とのやりとりも初めてだったので新鮮でした。結局、イベントは雨が降ってできなくなってしまったのですが、楽しかった記憶が残り、また地域活動に参加したいと思いました。

最初は恐る恐るでしたが、3年生になる頃には一人でもいろいろな活動に参加できるようになりました。例えば、足利市で地域おこし協力隊の方と一緒に活動するインターンシップ。里山の活性化に取り組む隊員について行って、生姜農家さんの収穫を手伝いました。今もその農家さんのところにお手伝いに行っています。

他には、宇都宮市が主催する教養講座「宮の朝活」。朝6時から、早朝の時間を利用して学びを得られる講座です。参加したことから地域の方とのつながりができ、早朝にカレーを食べに行ったり、ヨガを始めたりとさらにいろいろな活動につながりました。

どの活動に参加しても、活動の後も気にかけてくれたり、他の活動に誘ってくれたりする方がいました。地域の温かさを知りましたね。今はよく、つながりが希薄化していると言われますが、つながりを無くさないように、広げていけたらいいなと思うようになりました。

椅子に座り、満面の笑みを浮かべている石川 すずさんの写真

自分の「やりたい」が誰かの役に立った

ーまちつくにはどうして参加を?

大学3年生の時、真岡市役所の職員の方が、大学のゼミにメンバー募集の説明に来てくれたんです。それを聞いて楽しそうだなと思いました。

特に勿体無い公共施設を活用していくという話を聞いて、興味を持ちました。私は高校生のとき受験勉強のために公民館を使っていたのですが、他に使っている人はほとんどいなくて。2階建で大きな公民館なのに勿体無いなと思っていたんです。公共施設が活用されていないことに課題感があったので、より自分に合っているのではないかと思いました。

ー3年生の1年間、実際に活動されてみていかがでしたか。

今まで参加したプロジェクトの中で一番楽しかったです。まず話し合いをするときの雰囲気が良くて。話し合いというとどうしても硬い空気になりがちですが、大人の人も楽しげな雰囲気を作ってくれて、良いなあと思いました。

プロジェクトでは、公民館に興味があったので、二宮コミュニティセンターの活用を考えるチームに参加しました。他のメンバーはみんな大人で、大学生は私一人。最初は遠慮していましたが、途中から自分から発信した方が大人の人も話しやすい雰囲気になると気が付いて、積極的に発言するようになりましたね。

話し合いの中で、青空図書館をやりたい、子どもの遊び場を作りたい、ドッグランをやりたいなど様々なアイデアが出ました。私はコミュニティセンターの外の広い芝生でのびのび本を読めたらいいなと感じて、青空図書館を実現させたくて。どうしたらいいかわかりませんでしたが、大人メンバーの方がサポートしてくれました。実際に測量してドッグランを作ったり、子どもたちが遊べるように土管を設置したり、図書館の除籍本をいただいて蔵書を作ったりと、アイデアがどんどん実現していったんです。大人の底力を感じて、「やりたいと思ったらやれるんだ」とわかりました。

最終的に、2021年11月に二宮コミュニティセンターでアイデアを形にしたイベントを開催。30人くらい来てくれたらいいかなと思っていたのに、最終的には約1500人が来場してくれたんです。

大きな木の前に置かれた本棚に沢山の本が並べられている青空図書館の写真
テントが貼られ、沢山の来場者が訪れているマルシェの様子を高い位置から写した写真

普段使われていなかった芝生広場が大勢の人で賑わったイベント「Real shibafu life 」

私たちが作った土管で子どもたちが楽しそうに遊んでいました。設置したドッグランにもたくさんのペット連れの方が来てくれて、わんちゃんが元気に走り回っていました。除籍本を芝生に展示した青空図書館では、本を見たり読んだりしてくれる人がたくさんいました。気に入った本は持って帰ってもらえる仕組みにしたところ、ある人はドイツ語などの本を5冊ほど選んで、「これで勉強します」と言って持って帰ってくれました。

そんな光景を見て、「やってよかった」と泣きそうになりました。やりたかったことが形になったことも、そしてそれ以上に人に喜んでもらえたことが嬉しかったです。誰かの力になれることにやりがいを感じました。

「やりたい」を声に出せる場づくりを

ー最後に、今後の展望を教えてください。

将来は栃木で公務員になりたいと考えていて、いま勉強中です。まちつくみたいに、楽しく地域のことを学んだり、まちづくりをしたいと思える人材の育成をしていきたいですね。活動のやり方や、サポートしてくれる人とのつながりづくりもつくっていければと思います。まちづくりというと外部から専門家を呼んでくる場合もありますが、外部の方に頼らなくても、地域の人で自分たちの住む地域を活性化できたらいいなと考えています。

まちつくや地域での活動を経て、最近は自主的に企画をするようになりました。これまでの活動では人に頼ってばかりだったので、学生最後の1年は悔いのないように、自分でやってみようと思ったんです。

先日は、大学で映画の野外上映を企画しました。数人規模の小さな上映会でしたが、大学でもこんなことができるんだとわかったことが大きかったです。大学側も快く開催を応援してくれました。大学でももっといろいろなイベントをしてみたいですね。それを通して、後輩たちに大学でいろいろなことができると伝えられるといいなと思っています。

4年間で、前の自分からは想像できなかったくらいの実践力が身についたと感じています。やりたいと思ったことは形にできることを知りましたし、自分のやりたいことを形にすることもまちづくりになるんだとわかりました。自分がやりたいと思ったことを、同じようにやりたいと思っている人は意外と多いんですよね。だからこそ、声に出すことが大切。「やりたいことを声に出していいんだ」と周囲に伝え、自発的に言葉にできる人、行動できる人を増やしていきたいです。

RIVER+で笑顔で写る岩崎さんの写真

取材、文章、写真 : 粟村千愛(真岡市地域おこし協力隊)

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