やってみようの背中を見せる!久保田有紀さん

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更新日:2023年03月27日

まちづくりは人づくりから。 まずは自分の一歩を通し、やってみようの背中を見せる

司会業、カウンセラー、飲食店スタッフ、二児の母と、多彩な顔を持つ久保田有紀さん、通称「ゆきちゃん」。様々な活動をしているのは、目の前の状況に対して最適なキャリアを選択してきた結果だといいます。そんなゆきちゃんのまちづくりに対する想いとは。お話を伺います。

久保田 有紀(くぼた ゆき)

 

栃木県上三川町出身。日本体育大学卒業後、東京のアパレル企業で勤務したのちUターンし実家の建設会社で専務となる。その後、専門学校に通い栃木県内初インポートドレスショップWEDDING CoCo.を子会社として創業。子育てをする中で婚礼の仕事は今することではないと捉え、上三川いきいきプラザに勤務。再婚を機に真岡市に移住し栃木県で展開するお好み焼きARIGATOのランチスタッフとして勤務。ウエディングプロデュース業や司会業も再開。FMもおか『くぼたゆきの出逢ってくれてARIGATO』パーソナリティ。結婚相談センターLib代表カウンセラー。2021年から真岡まちづくりプロジェクトメンバー。2022年には真岡市の中学生の学生服などをリユースする「服福ちゃん」を開始。二児の母。

やろうと思ってできないことはない

―はじめに久保田さんのご活動を教えてください。

久保田:まず、真岡市にあるお好み焼きARIGATOのランチスタッフ。お店に入って最初にすることはおしゃべりかな(笑)。接客、キッチン両方担当しています。夫の会社とARIGATOがスポンサーのFMもおかの番組で、ラジオパーソナリティもしています。

 

20代のころに立ち上げたWEDDING CoCo.の代表で、式典やイベントなどの司会業をしているんです。だから話す仕事が多いですね。あとは全国にある結婚相談所の代理店も運営していて、代表カウンセラーとして結婚相談にものっています。

 

それから、真岡まちづくりプロジェクト(以下、まちつく)。私はもともとふるさと上三川町を愛していて、結婚して真岡市に引っ越してきました。最初は真岡でまちづくりに関わる気持ちはなかったけれど、誘われたご縁で参加することにしました。

 

―いろいろなご活動をされていますね!それぞれ、どんな経緯で始められたのでしょうか。これまでのご経歴を教えてください。

久保田:最初から話すと、小学校からバスケットボールをしていて、バスケットボールの指導をしたくて体育大学に通っていたんです。ところが採用試験に不合格。非常勤講師の話もありましたが、すぐに働きたい気持ちが強くて内定をいただいていたアパレル企業に就職しました。その会社でサービスの基本を、新宿の伊勢丹でグローバルな接客を学びました。将来はセレクトショップのバイヤーになりたいと仕事を頑張っていました。

 

ただ、その初年度に、建設業を営んでいる実家の後継として帰らなければならなくなって。仕事にはやりがいを感じていましたが、家族と共に過ごすことが私のできることだと考えすぐにUターンしました。

 

未経験からいきなり専務になって、父からいろいろなことを学びました。地域と関わることも増えましたね。しかし数年たって父と行き違い、家業は継がないと決めて、自分で好きな仕事をすることに決めました。今は、家業は父の意志を継ぐ方が経営してくれているので、感謝しています。

 

改めてなにをしようかと考えて、小さい頃からの憧れは幸せな花嫁だったことを思い出しました。結婚するわけではないうちから結婚情報誌を購読し、想像を膨らませていたんです。ウエディングに関する仕事も良いかもしれないと考え始めました。ちょうどそんな時、友人の結婚式があったんです。二次会の幹事を務め、記念品を用意したり演出を考えたりと試行錯誤しました。すごく楽しかったですね。一生懸命やる中でウエディングプランナーという職業を知り、これを仕事にしようと思いました。そこで再び上京し青山の専門学校に通い、県内のドレス屋さんで働き始めました。

―好きなことを仕事にしようとウエディングの仕事を始められたんですね。20代で起業したということですが、そこから独立されたんですか?

久保田:結婚式を控えた友人が、「独立するなら有紀にドレスを頼みたい」と言ってくれたんです。逆算するとすぐに取り掛からなければならず、イタリアのドレスを仕入れに現地に飛びました。

―イタリアに?おひとりで?

そう(笑)いろいろな国のドレスがあるけれど、私はイタリアのドレスのデザインやラインが好きで、日本人にはちょうどいいと感じていました。ドレスは現地で買わないと高いし、デザインが限られてしまいます。だから自分で行こうと思って。

 

出たばかりの大きなコンピューターでインターネットを駆使して、情報を探しました。もちろん行ったことはないし、「イタリア語でドレスってなんて言うんだろう?」というところからのスタート。イタリア大使館に電話して、いくつか情報を得ることができました。ドレス屋さんの地図を印刷して飛行機に乗り、現地へ。到着して、さて、どうしようかと考えた時ひらめいたんです。イタリアにも結婚情報誌はあるはず。そこから情報を得ようと本屋へ向かいました。情報誌を見つけて、良いと思ったお店に片っ端から電話しました。お店でドレスを見せてもらって営業担当が話を聞いてくれるお店が3社見つかり、そのうちの一社と契約できることになったのです。

 

その夜、イタリア在住のライターさんとディナーの約束をしていました。「明日契約するんだけど、心配だから通訳してもらえませんか?」と頼み、一緒に来てもらって。無事、契約をとりつけることができました。

 

―すごい行動力ですね。

現地に行かないと説得力が出ないと思ったんです。周囲には心配されましたが、迷いはありませんでした。友人の結婚式も決まっているし、往復数十万かけて行っているので絶対に決めてこなきゃと思っていましたね(笑)。

 

やってみなきゃわからないことばかりですが、やりたいと思ってできないことはないと思っているんです。実際に買い付けできましたし。また一度現地に行ったことで、次の年から展示会のお知らせが来るようになり、買い付けはぐっと楽になりました。

イタリアから仕入れているWEDDING CoCo.のドレス

1人の100歩より100人の一歩

―独立されてからは、どんなことをされていましたか?

久保田:やりがいを持って仕事していましたが、忙しすぎて子どもとの時間が作れなくなってしまいました。2人の子どもを産んだ後、シングルとなり実家で子育てをしていたのですが、繁忙期の6月、子どもたちと会える時間が減ってしまって、子どもに「仕事嫌い、ドレス嫌い」と泣かれました。子どもにそこまで思わせてまでやることではないなと感じて、一旦やめることにしたんです。

 

地元の上三川いきいきプラザという施設で、パートタイムで平日働くようになりました。私が入ったのは、施設の指定管理を担っている会社です。委託されている事業だけでなく自社事業にも積極的に取り組んでおり、さまざまな企画を立ち上げたり、事務方のとりまとめをしたりしました。ここで働いたことで、地域にはこれまでやっていなかっただけで、やろうと思えばできることがたくさんあることがわかりました。ここでの経験が今に生きています。

 

その後再婚し、パートナーが住んでいる真岡に引っ越しました。時間ができ、母親に専念できることが嬉しかったです。しかしずっと家にいると夫に甘えているような気持ちになってきて、もう一度働こうと。そこでARIGATOの募集を見つけました。

 

ARIGATOはオーナーが素晴らしい人で、誰に対しても肯定してくれるのです。例えば掃除中、古い格子をきれいにしようと思って洗っていたら、予想以上に漂白されて真っ白にしてしまって。そんな時も、「ゆきちゃん、ナイストライです」って(笑)。それ以来、人を肯定する意味を知って、実践するようになりました。

司会をするゆきちゃん

―真岡でのまちづくりには、どのように関わることになりましたか?

夫が商工会の青年部で活動していたり、私自身ARIGATOに来てくれるいろいろな方と知り合ったりして、まちの人たちと仲良くなってつながりができました。

 

ただ、真岡に対してあまり前向きな気持ちはなかったです。市民である私たちが「ここに行けばこれができる」という共通認識を持っているような施設もないし、閉鎖的なイメージを持っていました。

 

まちつくに参加したのは、友人に誘われたことがきっかけです。頼まれごとは試されごとだと思って引き受けるようにしていて。私でお役に立てるならと思い、参加することにしました。

 

―参加してみて、気持ちに変化はありましたか?

最初のワークショップで、まちつくのアドバイザーを務める、下野市でまちづくりに取り組むローカルプロデューサー、山口貴明さんから「まちづくりは人づくり」だと話があったんです。私も、数年前から「まちづくりは人づくりから」と思って動いていたので共感しました。山口さんはさらに「環境づくりでもある」と続けていて。環境、例えば人が集まれる施設や人が育つ仕組みなどがないと継続しないと気がつきました。

 

あとは、宇都宮大学准教授の石井大一朗先生の言葉も印象に残りました。「一人の100歩より100人の一歩」とおっしゃっていたんです。市や町のトップ一人が100歩前進するよりも、100人の仲間が一歩を踏み出すことの方が大事だと。その言葉がずっしりきています。

 

市が、町がなんとかしてくれるだろうと思って生きていると、自治体は衰退していくだけ。待っているのではなく、そこに住んでいる私たちが動き、前進することが大事なんだと感じました。

 

また、活動を通して真岡にはこんなに多種多様で個性あふれる人がいっぱいいたんだと思いましたね。特にメンバーは、それぞれ築いてきたキャリアを生かして奉仕できる年代の人が多い。今のまちつくは街を想う心が存分に反映されていて、「民の力も強し」と思いました。

目の前のことに取り組む背中を子どもたちへ

―市民の力がまちのこれからをつくっていくんですね。最後に、今後やりたいことを教えてください。

久保田:ARIGATOの仕事を続けながら、結婚相談カウンセラーに力を入れたいと考えています。いろいろな考え方があるけれど、私は子どもを産み育てる幸せを感じているし、パートナーが存在するありがたさも知っているので、それを求めている人がいるなら力になりたい気持ちがあります。

 

また、学生服のリユース「服福ちゃん」の活動も始めました。裁縫上手のおばあちゃんと考えた、不要になった市内の中学生の制服やジャージなどを再利用する取り組みです。在庫は集まってきているので、秋口にフリーマーケットのような形でも販売したいです。

 

困っている人がいるなら、それに対する最善策を探して、「じゃあやろう」と思います。世の中そんなに悪いことばかりじゃないし、やっぱりできないことはないと思うんです。

まちづくりに関しては、参加することも意見を言うことも、ためらわないようにしたいし、ためらわないでほしいと思います。このまちに生きていることを他人事ではなく自分事としてとらえる人が増えてくれると嬉しいです。ただ、私がそうだったようにまちづくりを知るきっかけ、行動するきっかけがないと一歩が踏み出せないので、その仕組みを整えて仕掛けていくのが目下の課題です。

 

私は人と出会うことで成長してきましたし、これからもきっとそうです。なので、今回出会えたまちつくの仲間もかけがえのない仲間になると思っています。一人では絶対にできないことも、仲間によって支えられ可能になる。仲間の輪を広げていきたいです。

 

最後に。

 

「やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かぬ。」子育てをするうえで私が大事にしてきた、山本五十六の言葉です。人を育て、つないでいくためには、まずは自分がやってみせることが大事だと思っています。最近はまちつくの活動をしているのを見て、息子も参加したいと言ってくれました。自分が取り組む姿を見て、近くの人たちが「やりたい」と思って一歩踏み出してくれると嬉しいです。

取材、文章、写真 : 粟村千愛(真岡市地域おこし協力隊)

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