「やってみたい」の一歩目を踏み出す場所に。 失敗も共有しながらつくる、真岡のまちづくり拠点

真岡市の市役所前通りに、青いタイルが印象的な2階建て屋上付きの建物があります。数か月前から足場が組まれ、工事をしているのを目にした方も多いのではないでしょうか?実はここ、真岡市がまちづくり拠点としてリノベーション中なんです!!!
12月末から、土曜日10時~15時に、リノベーションワークショップを行ってきました。今回はこの拠点が、どのようにつくられ、どんな場所になっていくのかお伝えします!
拠点づくりを主導してきた、真岡市地域おこし協力隊のなべちゃんこと渡部真子さんと、市職員の林大輔さんにお話を伺いました。聞き手は地域おこし協力隊のあわっちこと粟村千愛でお送りします。


年を重ねたまちに新しい価値を
粟:最初に、拠点を作ろうと思った経緯を教えてください。
林:2021年度から真岡まちづくりプロジェクト(以下、まちつく)で公共空間の利活用を進める中で、広い緑地や文化財を対象としていたので、もっと小ぶりな雨が降っても活動しやすい全天候型の施設が欲しいと思っていました。学生のやりたいことを聞く中で、空き家や空き店舗を活用して居場所をつくりたいという意見もあったので、それを実現したいという想いもありました。
市としても、まちに空き家や空き店舗が増える中で対策を求められています。特に現在リノベーション中の物件がある寿町のあたりは、昭和になって最初に区画整理をした地域。約60年が経ってまちも人も高齢化も進む中で、新しい価値を生み出さなければならないけれど、それができていない現状がありました。建物の価値を残しつつ新しいものをつくる、モデルケースの一つとして拠点づくりを始めました。
粟:行政で民間の物件を借り上げて、リノベーションしているんですよね。市の承認を得て、物件を確保するのは難しくなかったですか。どういう風に進めましたか?
林:2025年春には、市役所通りに新しい複合交流拠点がオープンします。それに向けて市の中でも、ただ箱物を作るだけではなく、周辺市街地の活性化を図るという気運が高まっていました。これまでのまちつくの活動で、場所があればいろいろな取り組みを仕掛けられるということもわかっていたので、政策的にはそこまで難しくはなかったです。
ただ、物件は個人との交渉なので、難しいかなと思っていました。しかし実際は、場所も見た目も良いと思っていた物件の地権者さんにお話ししたところ、一発OKで決まりました。
粟:地権者さんがお知り合いだったなど、つながりがあったのですか?
林:いえ、面識のない方です。建物の登記簿を見て、「市役所ですけど、借りられませんか」と。
粟:実際にピンポンされたんですね!
林:そうです!行ってみたら、「だめじゃないですよ」と。ほとんどNG条件もなく貸してくださいました。聞いてみると、貸したい気持ちはあったけれど、トイレや窓など不具合があるところを直してまで貸すのはハードルが高かったそうで。それなら自分たちで改修するので、と交渉してお借りすることができました。先方が貸しやすい条件をお聞きするのも大事かもしれませんね。あとは、見て終わるのではなくピンポンする、一歩踏み出すことが大切かなと思います。

▲リノベーション前の物件
ニーズから設計する
粟:いま実際に工事をしていますが、どんな場所にするかは、どうやって決めていったのですか。
なべ:2023年の7月ごろに、空き家や空き店舗に興味があるまちつくのメンバーとワークショップをしました。高校生から大人まで集まって、借りる前の物件に入らせていただき、1階から屋上まで実際に見て「ここで何をやりたいか」を考えたんです。やりたいことを付箋に書いて一人ずつ発表したり、画像を探してイメージを共有したりしました。
林:いろんな案が出ていたよね。
なべ:屋上にドッグランを作りたいとか、サウナ、BBQとか…(笑)。その中で、キッチンを備えたイベントスペースや、作業場となるワークスペース、郵便物の受け取りができるシェアオフィスなどがあれば利用したいという声があり、アイデアを形にしていきました。
まちつく大人メンバーの岡さんが図面を引いてくれて、伊澤さん、大瀧さんが手直ししながら模型をつくってくれました。模型があることで出来上がりのイメージが共有できてよかったです。

林:9月ごろには設計図が完成して、11月下旬には業者が決定。12月からリノベーションのワークショップを始めました。
粟:業者に発注するのではなく、はじめからリノベしようと考えていたのですか?市役所の職員の方がリノベしているのはあまり見ないような…。
林:うーん、業者さんに頼んで出来上がりを見てわあすごい、という感動もあると思いますが、やったことのないことだし、自分たちでやったほうが面白いかなと思って。
なべ:面白い!自分が関わったものだと思い入れも残りますし。
林:たとえば工業高校の子たちにも声をかけましたが、実習はあっても実際の物件を扱う機会はほとんどないと思うんです。普通科の高校だとそもそも実習の機会もなかなかありません。高校生に体験の場を用意したい気持ちもありました。
プロのすごさと安心感






林:リノベーションという目的があるから話が弾むし、みんな初心者だから「うまくできなくても大丈夫」という安心感があるんです。はみ出しちゃったら拭けばいいし、「そこも白で塗っちゃえ」という感じ。細かいところはプロがサポートして支えてくれます。最初は緊張してうまくやらなきゃと思っている参加者の方も、途中で「こんなかんじでいいんだ」と気づいてサクサク作業しています(笑)。
失敗しても大丈夫。一歩目を踏み出す場所に

真岡まちづくり拠点インタビュー (PDFファイル: 2.4MB)
取材、文章、写真 : 粟村千愛(真岡市地域おこし協力隊)
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更新日:2024年04月19日