移住者インタビュー5.子育てを機にUターン移住!農業を軸にまちづくりのステップへ

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更新日:2025年01月27日

農業の可能性を知り、『農業×まちづくり』で真岡市の課題解決に向けて始動!

元公務員(保健師)、現在ブルーベリー農家という北城さん。保健師として充実した日々を送りながらも、30代半ばに「自分の生き方」について考えるようになったそうです。
仕事を通して感じた真岡市の課題。私にできることはなんだろうと自問自答する中、コロナ禍を経験。その時、「食の備え」の重要性を再認識し、農業に尊敬と魅力を感じました。
公務員を辞めた本当の目的は「まちづくり」!真岡市が「誰もが安心して住み続けられるまち」「誰からも選ばれるまち」になってほしいと語る北城さんの今後の展開が楽しみです。

真岡市にUターン移住するまでの経緯や、農業×まちづくり、真岡市の未来への想いなどホンネを語っていただきました!

豊かな人生とは、自分らしく生きること。観光農園を通して『まちづくり』と、高齢者や不登校児も『住みやすいまち』へ

北條さんの写真

北城早織里さん

ふるさと真岡市にUターン移住したきっかけを教えてください。

私は栃木県真岡市出身で、大学進学を機に市外へ転出しました。
小学生の時から看護の仕事に就きたいと考えていて、大学を卒業後、看護師として新潟の市民病院で勤務しました。しかし働く中で「私のやりたい仕事と違う気がする」と考え始めた頃に、大好きな祖母が大病により余命宣告を受けたのです。それも重なり、祖母のお世話をしたくて栃木県に戻ってきました。
地元では、これまでの経験と資格を活かし、保健師として働こうと考えました。その時は真岡市での職員の募集はなかったので、小山市で勤務しました。保健師の仕事はとてもやりがいを感じ、自分の生まれ育った真岡市で、この仕事ができたらいいな、と強く思うようになりました。

そんなときに縁あって真岡市出身の夫と出会い、結婚と出産を機に小山市から真岡市へ移住。そのタイミングで、真岡市で保健師の募集があり地元の保健師として働くことができました。子育てするときは地元に戻りたいと考えていたんです。きっと真岡での田舎暮らしを満喫していて、真岡への愛着が育っていたからだと思います。春に犬の散歩で通った大谷台の桜並木、五行川沿いの小さなトンネルを発見したときのワクワク感。トトロのような世界観を密かに抱いていました。夏のお祭りが近づいてくると、まちのあちこちから、お囃子の音が聞こえてきて、そのワクワクは今も感じています。自分が小さい頃に楽しんだこのまちのよいところを自分の子どもにも伝えていきたいと思っています。

保健師から『まちづくり×新規就農』の道へ。きっかけを教えてください。

保健師としての日々の業務は、忙しい毎日の中でも、とっても充実していました。
無我夢中で仕事と家事育児をしていくうち、気が付くとあっという間に30代半ば。子育てが少し落ち着き、40歳が目前に見えてきた頃、改めて「自分自身の生き方」について向き合うようになったんです。
当時は、夫とも今後の自分の生き方についてよく話をしていました。大好きな保健師の経験や資格を活かして今とは違う形で社会に貢献できないか、と何度も会話したのを覚えています。健康福祉分野は、まちづくり分野との協働が必要と言われています。真岡市内では「健康・福祉とまちづくりをつなげたまちづくり」を掲げる企業が見当たらなく、それを実現できるのは私しかいないんじゃないかって思っちゃったんです笑。
また、仕事を通して、真岡市も他の自治体同様に出生率の低さ、高齢化率の高さを目の当たりにしたことで、まちの発展に将来的な危うさを感じていました。これらのことが「まちづくり」を意識したきっかけでしたね。

就農のきっかけは、保健師の仕事から健康維持のために「食」が重要であると認識していたっていうことに加え、コロナ禍を経験したことですかね。その時に改めて 「食の備え」の重要さを実感し、「食」をゼロからつくることのできる「農業」に尊敬と魅力を感じたんです。また、農業にまちづくりと掛け合わせることで生まれる大きな可能性があるんじゃないかって思ったんです。
しかし、私は非農家。経験や環境はまったくのゼロです。
私でも実現可能な作物は何だろうと考えました。もちろんイチゴも検討しましたが、私は、年間を通して真岡市が賑わってほしいと願っているので、イチゴの旬ではない時期に収穫できる作物を探していました。
それがブルーベリーでした。ブルーベリーは夏が旬であること、さらに非農家出身でも挑戦しやすい栽培方法が構築されていました。そんな経緯で、自分の目的や想いの実現のために真岡市で「ブルーベリーの観光農園」を開くことを決意したのです。

ブルーベリーの写真
ブルーベリーの鉢植えの写真
500円玉くらいのブルーベリーの写真

ブルーベリー観光農園を開業するまで、また作業内容を教えてください。

農地探しに苦労しましたが、知人や関係者からのご縁があり、いがしらリゾート隣接の場所に、農地をお借りすることができました。
防草シート敷きや芝生張りなど、できることはDIYをしました。それでも自分だけでは限界があったので、友人、地域の方や前職の仲間に協力をしていただきました。さらに、SNSで呼び掛けたところ、市内外、県外からもたくさんの方のご協力がありました。改めて人の力のすごさを感じました。皆さんのお陰で、前職を辞めてからわずか2か月で農園をプレオープンすることができました。
ブルーベリーの栽培作業は肥料の管理、剪定などです。あまり市場に出回らない大粒で甘い品種やピンク色のブルーベリーも育てています。

まちづくりは、実際どんな活動をされていますか。

農園のオフシーズンに「季節ならではの行事を楽しんでもらいたい」という想いでイベントを実施しました。夏の夜に、ライトアップしたランタンビアガーデン、秋には果樹園ハロウィンナイト、芝生の上で朝ヨガなど、お子様から大人までたくさんの方に楽しんでいただきました。イベントでは、市内出身の声楽家・ピアニストの方を農園に呼んで演奏をしていただいたんです。生のピアノに癒され、参加された方々からも好評でした。
これからも、農業と絡めたまちづくりイベントを企画、運営をしていきたいです。

北條さんが作業している写真
北條さんが作業している写真

ご自身の今後の展開は?

私にとって本当のゴールは、農業に従事することではなく、「まちづくり」なんです。そのために大きく3つのことを考えています。

  • 1つ目はこの観光農園を通した賑わいの創出と子育て応援です。農園に、市内だけでなく、市外、県外、そして海外からも来園していただけるように展開していきたいです。そうすることで、真岡市内に大きな賑わいが生まれると思います。子育てに関しては、一緒に運営するスタッフが保育士の資格をもっていることから、私たちの得意分野を活かして、子育てを応援したいです。
     
  • 2つ目は、農業についての積極的な発信をすることです。SNSでの情報発信はもちろんですが、「もおかグリーンツーリズム」の取り組みを通して、市内外の方に農業を身近なものに感じてほしいです。たくさんの方が真岡市の農業の魅力に気付き、真岡市を好きになって、もっと移住や定住が進むと嬉しいですね。
    もおかグリーンツーリズム
     
  • 3つ目は自分の生き方についてゆっくり考えられる場をつくっていくことです。様々な要因から、学校に足が向くことが難しいお子さんや、仕事への想いと行動が離れてしまい、疲れてしまった大人の方に、農園でゆっくり流れる時間と自然の音や風・空気に触れ、自身を見つめ直せるような場をつくって行ければと考えています。

ゆくゆくは誰でも気軽に「農業」に触れる機会を提供し、みんなが自給自足できる力をつけていくことを目指したいです。例えば、災害で物流がストップしたり、高齢になって移動手段が困難になったりしたとしても、自分たちの力で、「食」について対応できたとしたら、とても安心だし魅力的ですよね。こういった取り組みを続けることで、真岡市に移住・定住したいと思う人が増え、本当の意味でのまちづくりにつながると思うんです。

また、そういった取り組みの中で、人との「つながり」が生まれ、それが豊かな人生につながっていくのではないかと思います。そんなきっかけづくりに携わっていけたら、と思っています。

現時点では「農業×まちづくり」に挑戦し始めたばかりなので、結果はこれからです。安定といわれる公務員を辞めたけれど、この先成功を収めることで、自分の信じた道を頑張って進んでいくと、いい方向に向かうんだよって、いうことを示せたらいいですね。
真岡は田舎町ですが、田舎でもできる仕事が沢山あり、田舎だからこそできる仕事があります。自分自身が真岡での暮らしのいいところをもっと探していき、情報発信していきたいと思います。

北條さんがブルーベリーの説明をしている写真
北條さんがブルーベリーの説明をしている写真

未来の真岡市はどんな風になっていてほしいですか。

子育ての目線では、「お母さんや女性が働きやすいまち」ですね。「女性が」とか決めちゃいけないのかもしれないけど、私自身、子どもが小さいときに、仕事と子育ての両立が難しく辞めようと悩んだ時期がありました。
また福祉の目線では、どの世代も「住みやすいまち」になることです。高齢者の方も学校に足が向くことが難しいお子さんも、みんなが安心してずっと住み続けられる真岡市であってほしいです。そして多様な生き方ができるまちとして他市や海外からたくさんの方が訪れる「誰からも選ばれるまち」になってほしいですね。

北城さんが新規就農をされた時に利用した支援制度(補助金)

非農家出身の私が就農を目指すにあたり、青年等就農計画を市に認定していただくことは、農地取得の次に重要なミッションでした。1年以上も市や県に通い、申請書類の作成に大変苦労しました。たくさんの助言のお陰で新規就農者として認めていただいた真岡市に感謝の気持ちでいっぱいです。

真岡市新規就農者育成確保支援事業(経営支援)

真岡市新製品開発・販路 開拓支援補助金 (創業者向け)

栃木県地域課題解決型創業支援補助金

北城さんのおススメスポット

楽し・癒やし・美味し【いがしらリゾート】

井頭公園を中心に、どんどん発展中であり、一万人プール、アウトドア体験、アスレチックにサイクリング、収穫体験、温泉など、一日では足りないくらい素敵な場所です。いがしらリゾート周辺がウォーキングロードとして整備されたら、もっと特別な場所になるかもしれません。

北城早織里(ほうじょう さおり)さんプロフィール

北條さんがブルーベリーベースもおかの看板を持つ写真

北城さん(右)

  • 移住元:新潟県新潟市、栃木県小山市
  • 家族構成:ご主人・お子様3人、愛犬、愛猫
  • 現在の年代:40代前半
  • 現在のお仕事:ブルーベリー観光農園を自営就農
    2024年6月~プレオープン、2025年6月~グランドオープン
    いがしら観光農園BLUEBERRY BASE MOKA代表
    Instagram:@blueberry_base_moka

取材・文章・本人写真:檜澤しのぶ(真岡市地域おこし協力隊)

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